
執筆・監修:菊地 健太(理学療法士)
「右ばかり向いている」「左手より右手をよく使う」「寝返りがいつも同じ方向」。赤ちゃんの左右差に気づくと、発達が遅れているのでは、と不安になりますよね。
赤ちゃんの姿勢や動きは毎回同じではありません。眠気、興味のある音や光、授乳の向きでも変化します。一方、いつ見ても同じ方向、片側をほとんど使わない場合は確認が必要です。19研究をまとめた系統的レビューをもとに、家庭での見方と相談目安を整理します。
まず結論|ここだけ覚えてください
左右差は一瞬の姿勢ではなく、時間・姿勢・場面を変えて確認します。
左右から関わる遊びは無理なく行い、首や手足を強制的に動かしません。片側をほとんど使わない、首が反対へ向かない、動きが退行した場合は健診や小児科へ相談します。
「左右差」にはいろいろあります
左右差という言葉には、頭の形、顔の向き、首の動く範囲、身体の曲がり、手足の動かし方などが含まれます。これらは同じ原因で起こるとは限りません。
一度右を向いていた、右手で玩具へ触れた、というだけでは異常とは判断できません。食後、眠いとき、興奮しているときなど、状態によっても動きは変わります。月齢だけでほかの赤ちゃんと比べず、その子自身の数日間の変化を見ることが大切です。
家庭では「いつも」を観察する
次のような場面を数日かけて見ます。
- 仰向けで左右どちらへも顔を向けるか
- 左右の手を胸の前へ持ってくるか
- 両脚を曲げたり蹴ったりするか
- 左右どちらからの声や玩具にも反応するか
- 抱っこの向きを変えると姿勢も変わるか
- うつぶせ遊びで左右の腕へ体重をのせるか
左右が完全に同じ回数である必要はありません。動画を短く撮っておくと、健診や受診時に普段の様子を伝えやすくなります。
19研究のレビューで分かったこと
2025年の系統的レビューは、生後28週未満の乳児に対する早期の筋骨格スクリーニングや、保護者への家庭での関わり方の助言を調べました。878報から19研究が採用され、内訳はランダム化比較試験9件、コホート研究6件、非無作為化実験4件でした。
扱われた内容は、頭の形の左右差が16研究、首の可動域が10研究、向きの好みが3研究でした。3か月未満から、訓練を受けた専門家の監督下で保護者へ助言する方法は、左右差の予防によい結果を示す傾向がありました。
研究の限界も大切です
研究ごとに対象、左右差の定義、助言内容、評価方法が異なり、統合解析はできませんでした。GRADEによるエビデンス確実性は「非常に低い」と評価されています。
レビューの多くは頭の形や首の動きを扱い、すべての運動発達の左右差を検証したものではありません。家庭で見つけた左右差を、研究結果だけで診断することはできません。
家庭でできる4つの関わり
1.左右どちらからも声をかける
赤ちゃんが起きていて機嫌のよいとき、顔や声、玩具を左右の見やすい位置からゆっくり提示します。目や顔がついてくる範囲で行い、首を手で押して回しません。
2.床で自由に動く時間をつくる
安全な床やマットで仰向けになり、手足を自由に動かせる時間をつくります。長時間同じ姿勢になるベビー用品は、必要な場面で安全に使い続け、床遊びと組み合わせます。
3.短い腹ばい遊びを行う
起きていて大人がすぐそばで見守れるとき、短い時間から腹ばい遊びをします。床を嫌がる場合は、大人の胸の上などから始めます。泣いたら一度やめて大丈夫です。
4.抱っこや授乳の向きを時々変える
毎回同じ腕で抱える場合は、赤ちゃんと大人が無理のない範囲で向きを変えます。授乳上の理由がある場合は、助産師などへ相談します。
睡眠中は安全を優先します
左右差が気になっても、眠っている赤ちゃんをうつぶせにしたり、枕や位置保持器具で頭を固定したりしません。睡眠は仰向け、固く平らな寝床を基本にし、遊びの工夫は起きていて大人が見守れる時間に行います。
健診・小児科へ相談したいサイン
- 片側の手足をほとんど動かさない
- 首が反対方向へほとんど向かない、強く傾く
- 身体がいつも強く反る、極端に力が入る・入らない
- できていた動きが見られなくなった
- 哺乳量が落ちた、むせが増えた、体重増加が気になる
- けいれん、反応が乏しい、ぐったりしている
よくある質問
利き手が早く決まっただけですか?
乳児期早期に片手だけを一貫して使う様子は、単純に利き手と決めつけず健診や小児科で相談してください。一場面ではなく、普段の動画が役立ちます。
向きにくい側へ枕で固定してよいですか?
睡眠中の位置固定は行いません。起きて見守れる時間に、声や玩具の位置を工夫します。向きにくさが続く場合は専門家へ相談します。
整体では何を確認しますか?
当院では病気や発達障害の診断は行いません。姿勢、首や手足の動き、床遊び、抱っこを確認し、必要に応じて小児科や健診への相談をご案内します。
まとめ
- 一時的な左右差だけで発達の遅れとは判断できません
- 時間、姿勢、場面を変えて「いつも同じか」を観察します
- 19研究のレビューでは早期の専門家による助言がよい結果を示す傾向でした
- 研究の確実性は非常に低く、特定の遊びの効果は断定できません
- 睡眠は仰向けを守り、遊びは起きて見守れる時間に行います
- 片側をほとんど使わない、退行、けいれん等は医療機関へ相談します
参考文献
- Ellwood J, et al. Guidance strategies for infantile asymmetry prevention: a systematic review. BMC Pediatr. 2025;25:328. DOI:10.1186/s12887-025-05670-0. PMID:40281500. PMCID:PMC12032648.
- Einspieler C, et al. Diagnostic strategies for the evaluation of asymmetry in infancy—a review. Eur J Pediatr. 2004. DOI:10.1007/s00431-004-1412-2. PMID:14986126.
店舗情報
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店舗名
- 女性専門整体院 Life琴似店
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代表
- 菊地 健太(きくち けんた)
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住所
- 〒063-0804
北海道札幌市西区二十四軒4条4丁目13-2
リヴェール琴似1F
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土曜9:00〜17:00 最終受付15:30
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