
執筆・監修:菊地 健太(理学療法士)
先に結論:生理の前後に繰り返す頭痛は、毎月のことだからと我慢しなくて大丈夫です。頭痛の日と月経の日を一緒に記録すると、医療機関で症状を伝えやすくなります。ただし、突然の激しい頭痛や麻痺などがあるときは、記録より受診を優先してください。
「生理が来ると、頭まで痛くなる」「家事や仕事を休むほどではないと思って、なんとか動いている」。そんな毎月のつらさを、体質の一言で片づけていませんか。
今回は月経に関連する片頭痛の薬物治療研究と診療ガイドラインをもとに、相談に役立つ情報を整理します。この記事だけで頭痛の種類を診断することはできません。
生理中の頭痛は、すべて同じ原因ではありません
月経の前後に片頭痛が起こりやすい方はいます。ただ、同じ時期に痛むという事実だけで、原因がホルモンだと確定するわけではありません。「いつ起こるか」と「どんな症状か」の両方が大切です。
月経との関連をみる際は、月経開始2日前から月経3日目までに発作があるか、3周期のうち2周期以上で繰り返すかが診断上の手がかりになります。月経開始日を1日目として数えます。この期間以外の頭痛も記録しましょう。[1]
「月経中だから仕方ない」と決めつけることも、「この日程に当てはまるから片頭痛」と自己診断することも避けたいところです。
片頭痛を相談するとき、伝えたい症状
片頭痛では、日常の動作がつらくなったり、吐き気や光・音への敏感さを伴ったりします。片側だけでなく両側が痛むこともあります。痛む場所だけでは区別できません。[2]
- 痛みの感じ:ズキズキする、締めつけられるなど
- 一緒に起こること:吐き気、光や音のつらさなど
- 生活への影響:階段を避ける、家事を中断するなど
診察で「頭が痛いです」とだけ伝えるより、「夕方から痛くて夕食を作れなかった」と伝える方が、困りごとを共有しやすくなります。痛みの強さを上手に説明できなくても大丈夫です。
26研究・8,926人のレビューで分かったこと
2024年の研究『Acute and preventive treatment of menstrual migraine: a meta-analysis』は、月経時の片頭痛に対する薬物治療を調べた26件のランダム化比較試験、計8,926人のデータをまとめています。[3]
複数の片頭痛治療薬で、プラセボと比較した発作時の痛みの軽減や予防の効果が報告されました。「毎月起こるから、対処する方法がない」ということではありません。
ただし、対象の診断基準や評価方法には違いがあり、別の試験の一部を後から解析した研究も含みます。
頭痛日記は、短いメモからで十分
日本頭痛学会の頭痛ダイアリーでは、痛みの時間帯や強さ、薬とその効果、生活への影響、月経期間などを記録します。[4] 紙でもスマートフォンでも、続けやすい方法で始めましょう。
1.頭痛と月経を同じカレンダーに
頭痛があった日、始まった時間、続いた時間をメモします。月経の開始日と期間も一緒に残すと、後から照らし合わせやすくなります。痛くなかった日も分かる形だと便利です。
2.「できなかったこと」を一つ書く
「仕事を早退」「横になって休んだ」「子どもの送迎がつらかった」など、生活場面を一言添えます。毎回きれいな文章にする必要はありません。
3.使った薬と手応えも残す
処方薬だけでなく市販薬も、名前・使用した時刻・効いたかどうかを記録します。「いつもの痛み止め」では種類が分からないため、箱の写真やお薬手帳があると役立ちます。
例えば「月経2日目、午後に頭痛。光がつらく夕食準備を中断。薬の名前と使用時刻、休んだ後の変化」を残すだけでも、診察の話題になります。
日本のガイドラインでは3回の月経周期を含む記録で関連を確認します。[1] これは、受診まで3か月待つという意味ではありません。生活に支障があれば、記録を始めた段階で相談してください。
日常では「頑張るケア」より無理を減らす
片頭痛への日常的な工夫として、睡眠や食事のリズムを整える、水分をとる、発作中は暗く静かな場所で休むことなどが紹介されています。[5]
一度に生活を変えようとせず、「昼食を抜かない」「痛みが出たら画面から離れて休める時間をつくる」など、実行できそうなことを一つ選びましょう。休むために家族へ頼みたいことを書き出すのも一案です。
ただし、こうした工夫は治療の代わりではありません。「きちんと生活できていないから痛い」と、ご自身を責める必要もありません。
薬が効かない・使う日が増えたら相談を
月経時の片頭痛には、発作を抑える治療だけでなく、状況に応じた予防の選択肢もあります。[1] 自己判断で薬を追加するのではなく、効き方や副作用を医師・薬剤師と確認しましょう。
薬を頻繁に使うことで、かえって頭痛が増えたり悪化したりする場合もあります。[2] 「我慢するか、薬を増やすか」の二択にせず、使った日数を伝えてください。処方薬を独断で中止する必要はありません。
妊娠中・妊娠の可能性がある場合や授乳中は、そのことも先に伝えましょう。家族に効いた薬や以前の処方が、今の自分にも適しているとは限りません。[5]
記録を待たず、医療機関へ相談したいサイン
次のような症状が急に現れたら、いつもの月経時の頭痛と思い込まず、119など救急対応を検討してください。
- 突然始まった、非常に激しい頭痛
- 片側の手足や顔に力が入らない、話しにくい
- 意識がはっきりしない、けいれん、急な視力の異常
- 高い発熱や首の硬さを伴う激しい頭痛
これらは一般的な救急受診の目安です。[5] 一方、突然ではなくても、以前と痛み方が大きく変わった、徐々に悪化するなどの場合は早めの診察が必要です。[2]
毎月生活が止まる、薬が十分効かないといった悩みも、相談してよい理由です。まずはかかりつけ医、頭痛外来、脳神経内科などへ。月経そのものの困りごとがあれば婦人科でも共有しましょう。
よくある質問
生理の日だけなら、受診しなくてもいい?
日数だけでは決まりません。毎月家事や仕事を中断するほどなら、日記が完成していなくても相談しましょう。「よくあること」と「我慢すべきこと」は別です。
頭の両側が痛いと、片頭痛ではない?
片頭痛でも両側に痛みが出ることがあります。[2] 場所だけで判断せず、動いたときの変化や吐き気なども医師に伝えてください。
日記をつけ忘れた日はどうする?
分からない部分を無理に埋めず、覚えている範囲を残すところから再開しましょう。推測で細かい時刻を書くより、「午後ごろ」など確かな範囲を伝えることが大切です。
まとめ:毎月のつらさを、相談できる情報へ
月経に伴う頭痛を考えるときは、月経とのタイミング、症状、生活への影響、使った薬を一緒に整理しましょう。
記録は我慢するためではなく、自分に合った対応を医療者と考えるための道具です。危険な症状があれば記録より受診を優先し、繰り返す困りごとも一人で抱え込まないでください。
参考文献
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン2021:CQ II-2-14.
- NICE. Headaches in over 12s: diagnosis and management, CG150.
- Khoo CCW, et al. Acute and preventive treatment of menstrual migraine: a meta-analysis. J Headache Pain. 2024;25:143. PMID:39227797.
- 日本頭痛学会.頭痛ダイアリーで頭痛を攻略.
- NHS. Migraine.
本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療を行うものではありません。資料確認日:2026年9月3日。
店舗情報
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店舗名
- 女性専門整体院 Life琴似店
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代表
- 菊地 健太(きくち けんた)
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住所
- 〒063-0804
北海道札幌市西区二十四軒4条4丁目13-2
リヴェール琴似1F
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