
執筆・監修:菊地 健太(理学療法士)
「夜中に何度も目が覚める」「眠ったはずなのに疲れが抜けない」「朝から首や肩がガチガチ」。40代後半から50代にかけて、このような眠りと肩の悩みが重なる方は少なくありません。
つらさが続くと、すべてを「更年期だから」とまとめたくなります。しかし、更年期の変化、睡眠不足、首肩への負担は、同じものではありません。関係する要素を分けて考えると、相談先や対策を選びやすくなります。
この記事では、周閉経期・閉経後女性2,108人を含む系統的レビューとメタ解析、NICEの更年期ガイドラインをもとに、研究から分かっていること、まだ分からないこと、日常で見直せるポイントを分かりやすく解説します。
まず結論|ここだけ覚えてください
「更年期だから眠れない・肩がこる」と一つに決めつけないことが大切です。
夜間のほてり、睡眠の中断、気分や緊張、日中の姿勢・活動量などを分けて確認します。行動的な介入が睡眠改善に役立つ可能性はありますが、全員に同じ方法が効くとは限りません。
更年期にはなぜ眠りが変わりやすい?
更年期は、閉経の前後を含む時期です。ほてりや寝汗などの血管運動症状が夜に起こると、寝つきにくい、途中で目が覚める、その後眠れない、といった変化につながることがあります。
それだけではありません。仕事や家族の変化、気分の落ち込みや不安、飲酒、カフェイン、服薬、いびきや睡眠時無呼吸など、眠りを妨げる要素は複数あります。「年齢のせい」と自己判断すると、別の睡眠障害や治療できる症状を見逃すことがあります。
肩こりとの関係はどう考える?
今回取り上げる研究は、睡眠の改善を調べたもので、肩こりへの効果を直接検証した研究ではありません。そのため、研究結果から「更年期が肩こりを起こす」「睡眠を改善すれば肩こりが治る」とは言えません。
ただ、眠りが浅い日には疲労感が強く、日中の活動量が減ったり、長く同じ姿勢になったりすることがあります。ほてりや不安で身体へ力が入り、首肩の緊張を感じる方もいます。一方で、肩の腱や関節、首の神経など別の問題が隠れていることもあります。
確認したいのは、次のような違いです。
- 夜間覚醒や寝汗が多い日に肩もつらいか
- 朝だけこわばるのか、日中の作業で強くなるのか
- 腕を上げる動きで痛むのか、首の動きで変わるのか
- しびれ、握力低下、発熱などを伴わないか
- 仕事、スマートフォン、家事で同じ姿勢が続いていないか
「肩こり」という一言の中身を整理することが、無理なセルフケアを避ける第一歩です。
2,108人のレビューで分かったこと
2022年の系統的レビューとメタ解析では、周閉経期・閉経後女性を対象とした19報、16件のランダム化比較試験、合計2,108人が検討されました。
認知行動療法(CBT)、運動、マインドフルネス/リラクゼーションなどをまとめた行動的介入全体では、睡眠アウトカムが対照群より改善しました。効果量は標準化平均差−0.62(95%信頼区間−0.88〜−0.35)でした。
サブグループでは、CBTが−0.40、運動が−0.57、マインドフルネス/リラクゼーションが−1.28でした。重篤な有害事象は報告されませんでした。
数字だけで「これが一番」とは言えません
研究ごとの対象、介入内容、期間、睡眠評価が異なり、異質性は93.4%と非常に大きい結果でした。バイアスリスクにも懸念があり、エビデンス全体の確実性は「非常に低い」と評価されています。
2023年の運動に絞った別のレビューでは、17試験のうち10試験がメタ解析され、不眠重症度は改善しました。一方、睡眠の質には有意差がなく、どの運動をどの期間行うのが最適かも決められませんでした。
研究から言えるのは、行動面への働きかけが選択肢になり得ることです。「毎日何分歩けば治る」「ストレッチだけで解決する」とまでは言えません。
NICEが示す睡眠問題への考え方
2026年4月に更新されたNICEの更年期ガイドラインは、血管運動症状に関連する夜間覚醒などの睡眠問題に対し、更年期に特化したCBTを選択肢として検討するよう示しています。
これは、ホルモン補充療法を含むほかの管理方法に加える場合、ほかの方法を使えない場合、本人が希望しない場合などを含みます。治療の向き不向きは既往歴や症状で異なるため、婦人科などで個別に相談する内容です。
今日から整理できる5つのポイント
1.起床時刻を大きくずらさない
眠れなかった翌日に長く寝床で過ごすと、次の夜に寝つきにくくなる場合があります。まずは起きる時刻を大きく変えないところから始めます。強い眠気があるときの運転は避けてください。
2.ほてりと覚醒を記録する
就寝時刻、目が覚めた回数、寝汗、飲酒、カフェイン、翌朝の首肩の状態を1〜2週間だけ記録します。完璧な睡眠点数をつけるのではなく、症状の組み合わせを医療者へ伝える材料にします。
3.日中に無理なく身体を動かす
散歩や軽い運動は、痛みや体調に合わせて行います。寝る直前に強い運動を追加する必要はありません。運動後や翌日に肩の痛み、疲労、ほてりが強く残る場合は量を減らします。
4.寝る前に肩を強く揉み続けない
強い刺激で一時的に楽でも、痛みが増える場合があります。ゆっくり呼吸し、肩を小さく動かす程度から試します。腕を上げたときに鋭く痛む場合は、無理に伸ばしません。
5.相談したいことを分ける
ほてりや月経変化、閉経後出血は婦人科へ。大きないびきや無呼吸、強い日中眠気は内科や睡眠外来へ。肩の運動痛やしびれ、筋力低下は整形外科へ相談するなど、症状に応じて入口を分けます。
医療機関へ相談したいサイン
- 眠れない状態が続き、仕事・家事・運転へ強く影響する
- 気分の落ち込みや不安が続く、自分を傷つけたい気持ちがある
- 大きないびき、呼吸が止まる、朝の頭痛、強い日中眠気がある
- 閉経後に性器出血がある
- 肩の痛みに発熱、腫れ、強い夜間痛を伴う
- 腕や手のしびれ、力の入りにくさが進んでいる
よくある質問
更年期なら肩こりは仕方ありませんか?
仕方ないと決めつける必要はありません。ただし、肩こりの原因を更年期だけに求めるのも適切ではありません。睡眠、ほてり、姿勢、肩や首の動き、神経症状などを分けて確認します。
運動すれば眠れるようになりますか?
レビューでは運動群の改善が示されましたが、研究の確実性は非常に低く、全員への効果は保証できません。無理のない範囲で行い、症状が続く場合は医療機関へ相談してください。
整体では何を確認しますか?
当院では更年期や睡眠障害の診断・治療は行いません。医療機関での確認を大切にしながら、首肩・背中の動き、呼吸、日中の姿勢や活動量を整理し、身体への負担を減らす方法を一緒に考えます。
まとめ
- 更年期には、ほてりや寝汗と関連して睡眠が途切れる方がいます
- 更年期と肩こりを直接の因果関係と決めつけることはできません
- 2,108人を含むレビューでは、CBT、運動、マインドフルネス等と睡眠改善の関連が示されました
- 研究間の差は大きく、エビデンスの確実性は非常に低い評価です
- 睡眠、ほてり、日中姿勢、肩の動き、神経症状を分けて確認します
- 日常生活への強い影響、無呼吸、閉経後出血、進行するしびれ等は医療機関へ相談します
「更年期だから我慢する」でも、「肩を揉めば全部解決する」でもありません。今起きている変化を一つずつ整理し、必要な医療と無理のない身体のケアにつなげていきましょう。
参考文献
- Lam CM, Hernandez-Galan L, Mbuagbaw L, et al. Behavioral interventions for improving sleep outcomes in menopausal women: a systematic review and meta-analysis. Menopause. 2022;29(10):1210-1221. DOI: 10.1097/GME.0000000000002051. PMID: 36067398.
- Qian J, Sun S, Wang M, et al. The effect of exercise intervention on improving sleep in menopausal women: a systematic review and meta-analysis. Front Med. 2023;10:1092294. DOI: 10.3389/fmed.2023.1092294. PMID: 37181372.
- National Institute for Health and Care Excellence. Menopause: identification and management (NG23). Updated 15 April 2026.

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妊娠中や産後の方でも、姿勢などに配慮しながら可能な範囲で検査させていただきますのでご安心ください。
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お客様とGoalを共有し、共通した認識で進めていけるよう現段階の体の状態は把握していただきます。
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施術
カウンセリングの方針に納得した上で、施術を進めていきます。当院では「この症状にはこの治療」と言った決まったものはありません。
ひとりひとり体の状態が違うように、同じ腰痛でも腰痛になった原因は人それぞれです。
当院ではしっかりと、その人のその時の状態を正確に把握し、最善の施術を行う事を大切にしています。
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